都市交通事業本部の環境保全対策
 地球環境保全という全地球規模の課題において、鉄道は環境にやさしい交通機関と評価されています。しかし、都市交通事業本部ではその公共性の高さと地域とのかかわりの深さを十分に認識し「環境にやさしい鉄道」という評価に甘んじることなく、地道な活動を続けることにより「より環境に優しい交通機関」を目指していきたいと考えています。ここではその取り組みの一部を紹介します。


1. 省エネルギー・CO2削減の取り組み
 地球環境保全という点で今最も大きな課題といえば、CO2に代表される温暖化ガスを原因とする地球温暖化です。都市交通事業本部ではその対策として下記のような取り組みを行っています。 


1)太陽光発電システムを西宮北口駅に導入
 省エネルギー対策の一環として関西民鉄初の産業用太陽光発電システムを導入し、2001年1月に運用を開始しました。神戸線西宮北口駅屋上に約80平方メートルの太陽電池パネルを設置し、駅2階コンコースに設置したLED表示装置で、発電状況等をリアルタイムにお客様にお知らせしています。出力は10kWで年間約1万kWhの発電量を見込んでおり、駅の照明、昇降機、空調等に使用する電力を供給しております。
西宮北口駅屋上の太陽電池パネル 発電状況をお知らせする表示装置
 
2)省エネルギー車両の導入
 省エネルギー車両を導入して使用電力量を削減し、発電所から排出されるCO2を削減します。

○VVVFインバータ制御車・界磁チョッパ制御車
 ブレーキ時は電動機の回転力を活かし、発電機として使用し(回生ブレーキという)30%~40%の電力を架線に返し、他の加速中の列車の電力として使用するなど省エネルギー化を図っています。
・回生ブレーキ車…585両
 (1)VVVFインバータ制御車…221両
 (2)界磁チョッパ制御車…364両(2006年11月30日現在)
  9300系(VVVFインバータ制御車)
   
 
  7000系(界磁チョッパ制御車)
 
○軽量車両の導入  
 従来の鋼製車両に比べ約10%軽量化を図ったアルミ車両(409両)の導入を進めています。車体重量が軽い分、少ない電力で動かすことができるとともに、ブレーキ時の負担も軽減できます。
 クーラーや車内灯等に電力を供給する補助電源装置におけるGTOやIGBT等の半導体素子を用いた静止インバータ装置により、従来の電動発電機に比べ変換効率を約15%向上しています。
 
○補助電源装置  
 車内の照明や冷暖房装置等の電源には、回転音がしない音の静かな、GTO、IGBT等の半導体素子を使用したSIV(静止型インバータ)装置を使用しています。
  9300系のSIV(静止型インバータ)
 
○車両運用での省エネルギー
 省エネルギー車の運用比率を高め、使用電力量の削減に努めています。また、昼間時には車内灯消灯の協力をお客様にお願いしております。
 
3)省エネ電気設備の導入
○力率改善用コンデンサ設備運用
 電車運転時、電気系統には無効電力が発生します。当社では、この無効電力を極力軽減するため、力率改善用コンデンサ設備を導入しております。力率改善用コンデンサを設置することで、1ヶ月当り平均2%、電力の有効利用を図ることができます。
  今後、力率改善用コンデンサ設備の導入を順次進め、エネルギーの有効利用に貢献していきます。
 
○行先表示器などへのLED式の採用
 行先表示器、信号機、踏切閃光灯などに消費電力の少ないLED式を順次採用しています。
  特に、2006年9月以降に順次使用開始した梅田駅中央改札付近のラガールビジョンの更新においてLED式を採用することで消費電力の削減を実現しています。
  LED式の行先表示器は、2006年4月1日現在、梅田駅をはじめ43駅に設置しています。表示内容として、列車種別、行き先、停車駅案内に加え、発車時刻、列車位置、列車の接近警告表示などを表示することができ、LEDの特徴を活かして、お客様への案内の充実を図っています。
 
○高効率変圧器および照明器具
 変圧器を更新する際には、電気の変換効率の高いトップランナー変圧器を採用し、また駅の照明器具についても照度を維持しつつ消費電力が低減できるHF照明器具を順次採用しています。




2. 沿線環境向上への取り組み
 電車の走行によって発生する沿線の騒音や振動を最小限に抑えるため、車両、軌道の両面から対策を行っています。


1)車両の騒音振動対策
 車両の騒音振動は沿線環境保全のみならず、ご乗車のお客様の乗り心地向上の面からもその対策に積極的に取り組んでいます。
 
○フラット検出器の設置と車輪の削正
 鉄道車両の車輪も自動車のタイヤのように擦り減っていきます。特に雨天でのブレーキ時や危険回避時の急ブレーキ時等で、車輪の表面(踏面)に発生するフラットと呼ばれる傷は、走行中の不快な音や振動の原因となります。そこでフラット検出器を営業線に設置し、不快な音や振動の発生する車両を特定して、その車輪表面(踏面)を車輪転削装置で速やかに元の形状に削正しています。
宝塚本線のフラット検出装置 西宮車庫の車輪転削装置
 
○フラット防止装置(ABS)
 車輪のロックを防止するフラット防止装置(ABS・アンチロックブレーキシステム)の導入を進め、フラットの発生を防止して不快な音や振動の発生を未然に防いでいます。
台車(ブレーキユニット部)
 
 
2)軌道の騒音振動対策
 軌道の保守のためには、夜間の作業が避けられず、沿線の皆様のご理解が不可欠となりますが、保線部門ではより良い沿線環境の実現のため、騒音や振動の削減に努めています。
○マルチプルタイタンパー
 列車が繰り返し走行することによって線路が微妙にゆがんで、軌道が次第に変位してきます。軌道の変位が大きくなると、列車の揺れが大きくなり騒音や振動の原因となるうえ、乗り心地も悪くなります。
  この対策として、マルチプルタイタンパーという大型保線用機械を用いた道床のつき固め作業により、線路の整備を行っています。
 
○レール削正車
 レールの摩耗による頭頂面の凹凸が原因となって発生する騒音や振動に対しては、レール削正車という大型保線用機械を用いてレールを削り、この凹凸を平滑にする作業を行っています。
  削り取った金属カスは、レール削正車に搭載した強力な集塵装置で吸い取り、付近に飛び散ることのないよう環境に配慮しています。

レール削正車の作業映像はこちら





3. 環境マネジメントシステム
 正雀工場にて環境マネジメントシステムを構築し、全社的な環境マネジメントシステムを検討しています。


○正雀工場における環境マネジメントシステム
 正雀工場における環境マネジメントシステムは、2001年3月16日付で環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得しています。この環境マネジメントシステムは、当社のみならず阪急電鉄グループを中心とした協力会社合計7社と共にひとつのシステムを構築し、運用していることが特徴で、共通の環境理念・環境方針のもと継続的な改善に努めています。
 
事業所内協力会社

・アルナ車両株式会社
・株式会社関西交通工業社
・株式会社グローバルテック
・興國車輌株式会社
・株式会社阪急コミュニティサービス
・株式会社阪急ファシリティーズ
・阪神給食株式会社


○正雀工場における主な取り組み
・車体外板塗装剥離装置の導入
 鉄道車両の外板を補修するには、事前に車体外板の塗装をはがす必要があります。正雀工場では、この車体外板塗装剥離作業に「超高圧水を用いた塗装剥離装置」を導入いたしました。この装置は、複数のノズルから超高圧で工業用水を噴射するロータリージェットガン(細部の剥離にはハンドガン)を用いて車体の外板塗装を剥離するもので、従来の有機溶剤を含んだ剥離剤を用いる場合に比べ、環境への負荷を飛躍的に軽減することができます。


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