TALK SESSION OF KYOTO何も起こらない平穏な日々
実はこれこそが一番の成功
京都から大阪へ。ビジネス街・住宅街・そして観光地を結ぶ京都線。様々な背景を持つお客様を、「安全に」、「確実に」目的地へお運びするため、京都線スタッフはどのようなチームワークで業務に臨んでいるのでしょうか。
森田 聖也
都市交通事業本部 運輸部
京都線運輸課 運転係 運転士
2010年入社
藤岡 愛弓
都市交通事業本部 運輸部
京都線運輸課 運転係 車掌
2010年入社
安田 巧
都市交通事業本部 運輸部
京都線運輸課 高槻市駅管区 営業スタッフ
2018年入社
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観光都市・京都を走る路線として
お客様のためにできること
森田
京都線は主要なターミナル駅や住宅街を結ぶ路線で、京都市内や嵐山などの観光名所をつないでいることもあって、お客様の層が多彩な点が特徴だと思いますね。朝は会社員や学生、日中はご高齢の方やお子様連れの方、それに加えてここ数年では海外からのお客様も非常に多くなりましたよね。
運転士である私は直接的にお客様と触れ合うことは少ないのですが、それでもやはりお客様の多様性を感じることはあります。特に観光客の方であれば、目的地へ向かう瞬間も旅の大事な一幕です。出来る限りお客様がストレスを感じずに、安全に楽しく乗車時間をお過ごしいただけるよう運転にも注意を払います。
安田
そうですね。本当に最近は海外からのお客様は増えましたね。私の場合は、駅業務の中で様々なお客様と接するので特に強く感じます。ある時、海外からのお客様が「電車内で忘れ物をした」といって窓口までいらっしゃったことがあります。お客様のお話を聞いて駅や電車内を捜索し、なんとか見つけることができたのですが、その時「日本はすごい」と言っていただけたのは本当に嬉しかったですね。こういったケースが増加しているため、京都線の営業スタッフの中では、英語や韓国語などの勉強会がよく開かれているんです。
藤岡
私たちが行うアクション一つひとつが、阪急電車のイメージにつながっていると思うので、いつも気は抜けませんよね。毎日ご乗車されるお客様と観光にお越しのお客様、ご乗車の目的は違っても皆さんが快適に過ごせるよう配慮しています。車掌として感じるのは、やはり文化の壁。ホームでの待ち方、電車の乗り方などには日本独自のルールがあります。女性専用車両などはその最たるものですね。各国の文化などを理解した上で、こうしたルールを海外からのお客様にもしっかりと守っていただくことも、快適な車内環境づくりには大事だと思っています。海外からのお客様の場合、ストレートな物言いでないと説明が通じないこともあるので、伝え方にはいつも注意を払っています。
theme 02
大阪府北部地震を教訓に
さらなる安全確保のために
森田
京都線といえば、2018年の大阪府北部地震で大きな影響がありましたよね。その時、みなさんはどうされていましたか?ちょうど通勤・通学ラッシュの時間帯で、私もその時運転士として運転業務に携わっていましたが、電車が2時間ほど止まりました。その間、お客様に対するアナウンスや座席シートをスロープ代わりにして避難誘導などを行いましたが、その際、ご気分が悪くなったお客様はいないか、安全にお客様を避難させるにはどうしたらいいか、本当に気を配りながら応対を行いました。
藤岡
私はその時、業務にあたっていなかったのですが、緊急の呼び出しがあって現場に向かいました。私には2人の子どもがいるのですが、幸いなことに近所に親族が住んでいましたので、預かってもらってから急行しました。
鉄道業務は時間的に不規則で、特にこういった突発的な災害の場合は、お客様の安全が最優先となります。また、あの地震の後に、防災マニュアルが大きく変わったことも印象に残っています。
安田
駅でも災害を想定した訓練は頻繁に行われるようになりました。近年では地震だけでなく、台風による被害も目立ってきていますので、こうした起こりうる事象への対処を事前に訓練していると、いざという時に、お客様の安全を確保しながら、スムーズな誘導をすることができると思います。
阪急電鉄では私たち営業スタッフだけでなく、運転士や車掌、全ての社員が有機的に連携し、事態に対処するチームが出来上がっていますが、それでも不測の事態はいつどのような形で起こるかわかりません。ですので、あらゆる事象を想定して訓練を行うことはとても大切だと思います。
theme 03
一番良いのはお客様にとっての「あたりまえ」を提供し、
何も起こらない平穏な1日
藤岡
業務を行っている中で一番嬉しいのは、一日の終わりに異常なしと報告する時ですね。一日、トラブルなく業務が終えられるのが私たちにとっての成功です。お客様にとっても、もちろん私たちにとっても、安全運行は当たり前のこと。究極的には、お客様の印象に残らないくらいスムーズなサービスの提供を行っていくことが私たちの務めだと思っています。
安田
確かにそうですね。営業スタッフがお客様とお話ししたり、応対を行ったりする時はお客様がお困りの時ですからね。ただ、私はお客様とお話をして、サービスを提供することで喜んでもらったり、感謝のお言葉をいただけると非常に自身のモチベーションアップにつながります。
森田
私も運転席の後ろの窓からお子様がこちらをじっと覗いていたり、ホームに立ったお子様に笑顔で敬礼してもらったりすると本当に嬉しくなりますね。そうした信頼が生まれるのも、毎日当たり前のように安全運行が守られているからだと思うんです。不要なブレーキをかけず、計算しながら電車を走らせること、緊急時にも慌てず車掌や駅係員と連携をとって、お客様に不安を感じさせることなく応対していくこと。大変ではありますが、それを当たり前に、しかも毎日続けなくてはならない。私たちは鉄道インフラを支える者として、自分に課せられた役割を一つひとつ、完璧に真面目に守っていくことが大事だと思っています。それが、「今」のそして「未来」の『安全』と沿線のお客様からの『信頼』につながっていくと信じていますから。